わたしの勘は当たりだった。
「絵美ちゃんが、好きなんだ?」
わたしの問いに奈都くんはびっくりしていた。
「好き」
奈都くんはうつむいたまま顔を真っ赤にして、言った。
「松藤が好きだ」
奈都くんは覚悟を決めたみたいに、繰り返した。
なんだよそれ。
いつから好きだったの?
わたしに罰ゲームで告白する前から?
「…いつから?」
「入学式」
あっさりと、奈都くんはわたしの期待を打ち砕いた。
ホントに遊ばれてたんだ、わたし。
そんなのってないよ……。
奈都くんへの自分の気持ちの変化を見て見ぬふりするようになった頃から、
ホントは
ホントは
奈都くんの視線の先に、いつも、絵美ちゃんがいることに気づいてた。
だけど、
そのことも、
ずっと見て見ぬふりしてた。
それは、
無意識に、
気づいたらまたツラくなることくらい、
わかってたから、
だと思う。
奈都くん―…
わたしは奈都くんのことが好きなのに君の好きな子はワタシじゃない。
どっちも認めたくなくて、目を、そらしてきたのに。
両方いっぺんに知ることなんてなかったのに。
奈都くんにここでいいと言って、別れた。
あれだけいろいろ泣いたのに、まだ、涙は枯れない。
どれだけ泣いたら終わりは来るの?
薄暗い道のついたばかりの街灯が滲んで見えた。