授業中、絵美ちゃんの背中がいつもより小さく見えた。


絵美ちゃんはあの日から、何を思って過ごしたの?


わからない。

ボールが指をすり抜けて、はじめて見えた絵美ちゃんのひどく傷ついたような顔。

家で泣いたりしたのかな。

わたしはどんなに頑張っても、絵美ちゃんの泣き顔が思い描けない。

悲しい顔も寂しい顔も浮かんでこない。

知りたいとも思わなかった。

わたしは……絵美ちゃんの気持ち、全然考えてなかった。

わたしの知ってる絵美ちゃんは、ぶっきらぼうで、すぐ怒って、だけど、だけど、すごく優しい人。



なのに―…
わたしは絵美ちゃんを裏切った。

朝のホームルームで絵美ちゃんは先生に足の怪我の事を聞かれて、階段で転んで落ちました、と答えた。

そんなはず、
絶対ないのに、
それだけしか言わなかった。

絵美ちゃんに甘えて、依存して、ずっと守ってもらってばっかりだ。

絵美ちゃんは裏切ったわたしまで守ってくれた、のに―…!