深秋は笑うのをやめてわたしを方を向き直った。
「今日から松藤さん、みんなでハブくから」
心臓に一気に血が流れ込んだ気がした。
甘かった。
終わってなかった。
「明日音は当然うちらでしょ?」
千英が顔だけ笑いながら言う。
「わたしは……
……イヤだ」
急に深秋達の顔が変わった。
「ふーん、またいじめられたいんだ?」
思わず絵美ちゃんを見た。
絵美ちゃんはこっちを見ない。
佳奈を探した。
佳奈はまだ来てない。
どうする?
イヤだ
いじめられたくない。
いろんな覚悟が、気持ちが、揺らぐ。
「ラストチャンスだから、これ」
気持ちが片方に傾いた。
「明日音はうちらだよね?」
イヤだ。
イヤだ。イヤだ!!!
「…―うん」
自分の口からでた言葉が信じられなかった。
なんで―…
「明日音、あんた最低!!!」
乱暴にドアを開け、教室に入ってきた佳奈の怒鳴り声はわたしの意識を引き戻した。
「あんた達も!!絵美に何した!!?」
佳奈は深秋達を噛みつくように睨んだ。
「佳奈、いいよ」
絵美ちゃんの声は、
始業のチャイムが鳴り、ざわつき始めた教室の音に飲み込まれるように小さかったのに、
わたしの耳に、
はっきり届いた。