絵美ちゃんはかばんからドロップスの缶を取り出してガラガラいわせながら言った。
「わたしは嫌いじゃないよ、間宮さん。好きじゃないけど。失礼だし、めんどくさいし、なんか、八方美人じゃん」
「うん」
「あと、被害妄想激しいし。でも、悪い人じゃないから」
絵美ちゃんが何を言いたいのかわからなかった。
「友達のふり、やめちゃえばいいのに。無理に鈴原さんとか金本さんとかと付き合わなきゃいいのに、って思うんだよね、わたしは」
絵美ちゃんはドロップスの缶をわたしに突き出して、いる?と聞いた。
ドロップスなんていつぶりだろう?
絵美ちゃんこういうの好きなんだ。ちょっと意外だ。
わたしの手のひらに白いドロップが落ちてきた。
「あ、はっか」
「やった、わたしこれ嫌いなんだよね。間宮さんにあげるのちょうどいいや」
そう言って笑った絵美ちゃんはホントに幸せそうだった。
はっかのドロップは少し鼻にきて、はじめて、おいしいと思った。