テーブルの上に置かれた資料を少しだけまとめて、コーヒーを置くスペースを開ける。


「ねっ、ちょっと休憩しよ」


そう言ってみー兄の方を見ながら、テーブルにカップを置いた、つもりだった。


「あっ」


テーブルの角に当たったカップが、私の手を滑り落ちていく。


フローリングにラグを引いてあったからカップが落ちる大きな音はしなかったけど、ラグにコーヒーのシミが広がっていった。


「あっ、ごめ・・・」


「美優」


謝ろうと思った私の声は、みー兄の低い声によって遮られる。


「俺は仕事で忙しんだ。邪魔するなら出て行ってくれ」


「あっ、ごめ・・・ん・・・なさい」


みー兄の言葉に、頭が真っ白になっていく。


震える手でカップを拾い、急いで流し台に持っていく。


そのまま私はキッチンを出た。


「邪魔・・・」