運転手にスツェット家まで送ってもらうとダイニングにターミーがいた。


(やっと逢えた。僕はニヤついてないだろうな)


メイドのエブリンが僕とジョージに夕食はどうするか聞いてきた。


ジョージはエブリンに夕食を断り、飲みに行こうと僕に言った。


僕は、ターミーの居る家にいたかった。


しかし、断れない。


僕が承諾すると奇跡が起こった。ターミーが連れてってと言ったのだ。


僕はすかさずジョージに耳打ちした。


「僕が君の妹を引き受けるから、僕の泊まっているホテルのバーへ行こう」


ジョージは僕の意図を読み取り、思いもよらずマリアと逢えることになって、そわそわしだした。


でも感謝したいのは僕のほうだ。僕は一晩中ターミーとくだらない話をしているだけでも構わないから一緒にいたかった。


僕の心から里美の存在が消えかかっていた。