「ジェラード、好き?」
ひととおりデパート内を散策した後で、ふいにターミーが僕の袖を引っ張った。
「ああ、好きだ」
僕は甘いものがあまり得意ではなかった。けれども彼女の全ての問いかけにノーという言葉は使いたくなかった。
僕はデパート内のパーラーで、ジェラードを二つ買った。
「マサヤって大きい手をしてるのね、ジェラードが小さく見えちゃう」
僕の手からジェラードを受け取りながら、ターミーが言った。
「アメリカンフットボールの、こんな大きいボールを走りながらキャッチするんだ。グローブみたいな手じゃないと話にならないよ」
僕はボールの大きさを両手で示しながら、そう言った。



