来た、ターミーだ。何処へ行っていたのだろう、手にグラスを持っている。そうか、ジュースの氷が無かったんだ。別にボーイフレンドに電話をしに行っていた訳じゃない。
「・・・・・ればいいんですけど」
ジュディが申し訳なさそうに言った。
「えっ?失礼。ちょっと聞き取りにくくて」
僕はターミーに気を取られていたのを、英語がよく聞き取れなかったせいにした。
「ですから、明日は私がセブの案内をして差し上げればいいんですけど、あいにく以前からの約束事がありまして。日時の変更を申し出たのですが、先方も他の日は都合がつかないらしくて・・・」
ジュディがあんまり申し訳なさそうに言うものだから、僕は少し罪悪感を覚えたほどだ。
けれどもターミーと二人きりになれるという幸福感が、それをいとも簡単に打破してしまった。



