「里美、お前も飲む?」 僕はあの日以来、初めて優しく里美の瞳をまっすぐに見つめた。 「え、いいんですか?」 里美は少しとまどって、それから、本当に嬉しそうに 「グラスを取ってきます」 と台所へ急いだ。 僕は、彼女の瞳に溢れるものを見逃さなかった。 「里美」 僕は、里美の背中に向かって言った。 「はい」 里美の声はやわらかに震えていた。 「来月まとまった休みが取れそうなんだ。・・・その、・・・雅美をお袋に預けて温泉旅行にでも行かないか。そろそろ、雅美にも弟か妹が必要だしな」