はつ恋



僕は呆然と立ち尽くしていた。ショックを取り繕うこともしなかった。


「雅也?どうしたの?赤ちゃんのこと、嬉しくないの?」


僕の様子を察知した里美の顔がサッと暗くなった。


「・・・駄目なんだ。結婚は・・・できないんだ。僕は・・・僕には好きな人が・・・できた。君にはすまないと思っている・・・」


僕はそれだけ言うと、部屋から逃げるように飛び出していた。