僕は少々憤慨していた。


「その通り。けどな、俺が使ってやらないとあいつらは仕事がないんだ。どっちみち学校へはいかないだろうし、裸足で焼けたアスファルトの上で車のドライバー相手に新聞売ったり、ゴミの山でこれまた裸足でガラスの破片などの危険物に気を配りながら空き缶やびんを集めたり、夜の繁華街でタバコのバラ売りしたりで金を稼ぐより、ずっと健康的でいいと思うんだがなぁ。稼ぎはどれも似たりよったりだしな」


「少し給料を弾んでやるとか、出来ないんですか?そうすれば週の半分は仕事を休んで学校へ行く時間も取れる」


「金を与えるのは簡単さ。しかし、倍与えてもあいつらは学校へなんか行きやしないさ。そんなとこ行くくらいなら更に仕事時間を増やすに決まってる。それに雅也君、君の物差しとこの国の人々の物差しを同じに考えちゃいかんよ」


僕は少しだけ納得して黙った。