「カズが言っていたんだが、君の工場は従業員を増やす予定らしいな」
「ああ、カズとの取引のお陰で、生産を増やさなくてはならないからな」
「マリアの兄妹を使ってやればいい。給料の先渡しで。それがお袋さんの為になるなら、みんな喜んで働くじゃないか?」
「ああ、彼らは母親思いだからな。そうか、金銭面は解決しそうだ。叔母もそう言った理由には寛大なんだ」
「だろうと思ったよ。さて、結婚の問題について、マリアの親父さんは、その、・・・中国人の君と娘が一緒になるのを反対はしなかったのかい?」
「フィリピーナは中国人はもとより、日本人やオーストラリア人、アメリカ人・・・いろんな国籍の連中と一緒になっているよ。何の問題もない」
「じゃあ、君の側だけだ。反対しているのは一族の全員なの?」
「多分そうだ。いや、ターミーを除いてかな」
ジョージは一笑して話を続けた。
「特に年老いた国の祖父母は厳しいよ」
彼は肩を落としてそう言った。



