「オーケィ、ジョージ。一つずつ問題を潰していこう。僕は面倒くさい難問にぶつかると、いつもこの方法を使うんだ」
実際は、僕が悩んでいる時に里美がやってくれるやり方だった。
「マリアの親父さんが、急に彼女に結婚を勧めた理由は何?」
「マリアのお袋が病気になったんだ。緊急に手術の為の金がいるらしい」
「なるほどね、それでスポンサーが必要になった」
「あのヒヒ爺ィとは、俺も市の商業会議なんかでよく会うが、女好きのイヤな奴さ。マリアが働いているレストランに昼飯を食いに通っていて、・・・マリアが言うには何度か誘われたそうだ」
「彼女美人だものな。しかし問題が金銭的なことだけなら、それこそ君がなんとか出来るだろうに」
「スツェット家の財産管理は、全て叔母のジュディがやっている。俺は当主になるまでは1ペソだって自由に出来ないのさ」
「ふーむ。なかなかうまくはいかないものだな」
「それが世の中さ」
ジョージは大きく溜息をついた。さっきまでの興奮は、どうやらひと段落ついたようだ。