奈央は、荷物を持って病院に来てくれたが、言葉に困っている。

そのうち母が迎えに来て、私は、そのまま家へと帰った。


心配して、帰りに寄ってくれた恭一にも、
まだ、会って話せる気分ではなく、帰ってもらった。

隆志からの電話の時は、
泣き疲れて眠っていたらしい。


そして、1日たった朝、
何とも言えない鈍痛に襲われ、
その日は学校を休むことにした。


朝、恭一が迎えに寄ってくれたのだが、
年頃の女の娘が、好きな人の前で見せれる姿ではなく、
インターフォン越しに会話をした。

昨日も今日も、そんな恭一の気持ちが、
それはそれは嬉しかった。


嬉しかったのは、それだけではない。

ちょうど昼休み頃、
心配して電話をくれた本多は、
自分の経験談を語りはじめた。

「俺も、お前と同じ境遇になったことがあってな…だから今こうして、生徒達に、あの時の自分を託しているのかもしれないな。」

私はハッとした。

そして、昨日の奈央の様子が頭を過ったのだ。


昨日より、かなり冷静になれた私は、考える。

(試合に出れなくても、私はバスケ部員。チームのため、何かしなくちゃ!)


その日の夕方には…

「いつまでもメソメソすんなよ…らしくない!」

様子を視に訪れた隆志の
遠慮の無い言葉に、思わず涙がこぼれた。

「だよねぇ。(悲劇のヒロインのつもりでいるから落ち込むんだ…怒ってもった方が、気合いが入る!)」