「なんか、変わったことあった?」

「変わんねーよ、なんも。本多の野郎、積み重ねが肝心だって、耳タコだっつーの!」

「ふーん。(やっぱり、言わないんだ…当たり前かぁ。)」


次の日から学校で、
下駄箱の前を通る度、
中が気になって仕方がない。

(開けて見てみようか!でも、手紙が入ってなかったら、恭一は受け取ったってことで…そしたらきっと、ショックなんだろうな〜。自殺行為だ!止めておこう)

そんな葛藤と戦う日々が続いた。

はっきり言って病気だ。

(隆志なら何か聞いてるかな?)

でも、隆志に、こんな相談をすることが、何よりも、一番恥ずかしかった。


そんなある日の部活中、

恭一のことで、集中力が欠けていたワケではないが、

跳ねとばされた瞬間、地面に突いた左腕に激痛がはしり、

起き上がれぬまま、腕を抱えてうずくまる私を、たちまち部員が取り囲んだ。


顧問に付き添われ、直ちに近くの病院へと向かうと…

左手首骨折。全治2ヵ月。

早くても、1ヵ月はギブスで固められ動かせない。


夏の大会まで、もう、1ヵ月を切っていた。


メンバー落ちは当然。…そんなことは百も承知。

でも、なぜ今なのか…

中学生活、最後の試合に出ることが出来ない悔しさに、
あふれる涙は止まらない。

顧問を前に、この、ぶつけようの無い、込み上げる怒りを抑えることに、必死だった。