「だって…きょーちゃん、どんどん離れて行っちゃうから…いつも無茶ばかりして、また、何をやらかすのかって、考える度に恐くて…昔は、こんなんじゃなかったのになぁって…」

「もう、好きじゃなくなった?」

「何言ってるの!避けてたのはそっちじゃん!」

「…色々とあって…」

「何も言ってくれないから、分かんないもん」

「…」

「きょーちゃんは冷たいよ!」

「ごめん。」

「嫌われたって思ってたのは、こっちなんだから。」

「…嫌うわけ…ねーよ」

「え?」

「なわけねーって言ったんだよ!」

「…あたし、馬鹿だから…そうゆうの分かんないし」

恭一の言葉が、
胸をキュンキュンさせるので、
居ても立ってもいられず、
歩き出す私。

「待てよ!」

すれ違う、私の手首を掴んだ恭一は、
強引に、自分の方に向かせると

「どうすれば良い?俺、どうしたら俺…」

「い、痛い!」

「あ、ごめん!」

慌てて手を離した。


自分の記憶の中の恭一は、
まだ、対等なつもりで遊んでいた頃のままで、

今では、全く適わない程、力の差がついていることに、
一層、男を意識させられるのだった。

「大丈夫か?」

掴まれた手首を、もう片方の手で擦る私の仕草を、
恭一は心配そうに覗く。