なぜ、
彼だけが、謝るのかを考えた。

周りが騒いで、
迷惑だったのは、お互い様だったのでは?

一方的に、謝らせてしまった気がしてならない、

私の瞳は、

次の日から、
必死に彼を、探している。

そんな時にかぎって姿は見当たらず、

一学期、最後の日を迎えてしまった。


ずっと気になっていた私は、

その下校時、

校門から、私の家とは反対方向に、少し歩いた角で、
彼のことを待ち伏せることにした。


他の学年は、次々と出て来るが、
彼やその友達は、なかなか出てこない。

きっと、別れを惜しんでいるのだろう。


そして、
何人かの女子の群れの一人が、

私を見るなり、慌てて戻って行くのが見えた。


「えー、何?」
「やっぱ、そーだったの?」


たちまち、ガヤガヤと人集りができはじめた。

すると、

「いいから、お前等は帰れってー!」
「ほら、シッシッ!」と、

その、やじうまを蹴散らしてくれている者が…

あの二人乗りの奴らだ。


そして二人は、
その後ろにいる彼に

「じゃあなキム、あとで!」と、

笑顔で手を振り、
走って帰って行った。