「あの〜、話が見えないのだけど…」

「だよね〜!実はね、その声をかけてきた人がね、あたしの彼氏の友達でね…」

(そうだ、そんなこと言ってたな〜)

「制服に学年バッチに“みっこ”…これで探してくれってしつこくてさ〜。なんか、前から知ってるみたいだけど、知ってた?」

「…どういうこと?」

「んー、よく分からないんだけど、今度、一緒に会ってみない?ね!」

「あー、それはイイや。」

「え〜どうして?彼氏が居るとか?」

「…うん。そうなの。」

「そっか〜。それじゃあ、しょうがないよね〜。」

(これでイイ。ちょうど隆志のこと見てるし、彼氏だと思ってもらおう。)

ただ一つ、気になることがあった。

「前から知ってたって?」

「あ〜、ちょっと気になってる〜!」

(この娘のしゃべり方は、ちょっと苦手だな。)

「詳しくは分からないんだけど、よく見かけてたって…」

(そうなんだ〜。あの日が初めてじゃないんだ。)

「ロマンチックだけどさ〜、見方変えたら、怖いよね?」

(お前が言うか〜!?)


きちんと断ったつもりだったが、
彼女は、どう伝えたのか、

2日後の下校時間、
校門のそばで待つ、あの男に気が付いた。

「よう!」

声をかけられたが、無視して横を通り過ぎると、

男は、私の腕をつかんで引き止めた。

「ちょっと待ってよ。話があるんだ。」