「そうでも思ってないと、やってらんねーよ。」

そんな言葉に照れながら

「…もう、はじめからそう言えばイイのに〜」と、

恭一を肘で突っつくと、

「おちょくってんの?」

「テレてんの!」と

自分から、恭一と手をつないだ。


そして、どこに行くワケでもなく、

海岸沿いの国道を
くだらない話をしながら、ただ歩く、

これが、最近の、二人での時間の過ごし方。


お互い、時間も少ないし、

なにより、恭一本人が、
狼にならぬよう、
気を使ってくれているようで…

それが、凄く大切にして貰えてる気がして、
嬉しかった。


恭一の練習のない日は、
早く終わる方が
相手の学校のそばの駅へ行き、待ち合わせた。

今日みたいに、
突然、帰りが早くなった時は、

携帯にメールが入り、

とりあえず、今、
言われた通り、地元の駅へ向かっている。

なんだかんだと、会ってるなぁ…


雨で、練習が中止になったのだから、仕方がないが

せっかくなのに、傘日和。

電車のシートの端に座れた私は、
手摺りに傘を掛けていた。

駅に着き、電車を降りる時、
恭一に気をとられ、
うっかりしていた私は、
そばに居た学生から、傘を手渡された。