「恩田〜、あとで職員室来いや〜。」

「何?何したの?」

ホームルームの後、担任の大声に、クラス中から注目を浴びる私。

後を追って、職員室の前まで来ると、本多は聞いた

「おまえ、最近どうだ?」

「何が?」

「おまえの場合、腕がダメでも足があるだろ。遊ばせておくのはもったいないぞ」

「…」

「お前なら多分、今年も総体の選手候補に選ばれるだろうから、今から陸上部で準備しとくのはどうだ?」

「は?」

「もちろん、バスケ部は辞めなくていいんだぞ!俺から顧問にも話しは通す。野球部でマネージャーまがいなことしてるよりは良いと思うぞ…お前にとっても、北村にとっても。」

「北村?」

「あいつ、今、タイムにバラつきが出てるんだよな。無心の時とイラついてる時と、安定してない証拠だな。」

「はぁ。」

「聞けば喧嘩したって?」

「…北村が言ったの?」

「いや!…お前、野球部の青柳の口元に、傷があったのに気付いたか?」

「知らない。」

「矢部がやったらしいんだよ。野球部もうちも試合が近いし、事は穏便に済ませたんだがな…理由がな〜」

「なに?」

「青柳は、お前と北村が別れたのか、尋ねただけだって言い張るんだよ。矢部はホラ、帰宅部だから、うまく利用されたんじゃなければイイけどもだ。」

「…あたしのせい?!」

「そうは言ってないぞ。ただ、野球部には〜なんだ…しばらくは〜」

「なんかあたし、疫病神みたい!」