バスケ部に、顔が出しづらい私は、
野球部に行っては、鈴ちゃんの手伝いをしていた。

おかげで、野球部の男子と仲良くなる始末。

もちろん、それ以上のことは無い。


ボール拾いをしながら、

鈴ちゃんの、高校生になった彼氏との、すれ違い恋愛事情を聞いたり、

私の、今の現状を話しては、
ふたりで慰め合っていた。

「で、手紙の差出人は?」

「名前があってね…」

「調べたの?」

「偶然、知ってた。2年の、けっこう可愛い娘。」

「でもさ、その手紙は、一人の娘からなのかな?だとしたら、その娘にしてみれば、今がチャンスってことだよね…ヤバくない?」

「…恭一が選ぶんなら、しょうがない。“可愛い”には適わなかったってことかな。」

「ちょっと!ダメだよ〜投げやりになっちゃ…ちゃんと話し合いなよ!まったく、その子も随分だよね!こんだけ有名なカップルの間に入ろうだなんてさ…」

「そんだけ本気ってことでしょ。」

「…確かに、カップルになると、“別れ”に敏感になっちゃうよね…その点、ライバルは必死だもん。あの手この手使ってさ。」

「私は出来ないな〜。食い下がれないんだよね。」

「バスケでは、あんなに強気なのにね!」

「だから可愛いらしく無いんだよ…あたし。」

「…どうしたの〜?」

「そのバスケが出来ないから、ストレスがたまってしょうがない〜。」

「奈央ちゃんが言ってたよ。気にしないで、出てくればいいのにって。」

「奈央ちゃんはキャプテン新井と仲悪いからね。」

「あはは、そうなんだ?」