綺麗な月を見上げて、俺は長いため息を吐いた。 ため息は白い息となって、 益々、俺をひとり切なくさせた。 胸が苦しかった。 キュッと締め上げられるような痛みだった。 梨絵を抱きしめた腕を思いっきり殴った。 その腕に声を埋めて、 俺は久々に泣いた。 もう後には戻れないと思った。 この気持ちを封印する他に考えはなかった。