愛しい人へ



『・・・・どうして?』



『声で分かるよ・・』



俺はベッドから見える窓の外の景色を眺めた。

こんなに切なく見えたのは初めてだった。



『梨絵・・・。俺の質問に正直に答えて欲しい』


遠くの景色をボーと見ながら
俺はそう言っていた



『うん・・・・』




『梨絵の中にあいつはまだいるの?
 いるならハッキリ言って欲しい』




言ってから、とても後悔した。

こんなにも胸が暴れだす。

苦しい。聞きたくない。

答えはわかっていた・・・。

だから聞きたくなかった。



でも、ケータイを耳から離せないのは
わずかな期待もしていたからだ




『梨絵・・・。
 俺は本当の気持ちが知りたいんだ』



嘘だろう。
本当の気持ちなんか聞きたくない。


でも好きな女の前ではかっこいい自分でいたい。