愛しい人へ



「顔近っ。」


「んふふふ」


梨絵は嬉しそうに顔を戻す。




俺らは人混みの中に入っていく。



はぐれないように、しっかりと手をつなぐ。




「ああー。ほしいものがいっぱい!」


梨絵はお店の看板をみるたびにそういう。


「なんか買ってあげるよ?」


「えー悪いって。」


「お?遠慮してんのかぁー?」


「うん、本当にいいの。」



梨絵は彼女だからって何か買ってもらうのは
よくないと言っていた。

クリスマスプレゼントとか誕生日プレゼントとか
そういう大切なときにだけ買ってもらうのがいいんだと。


俺の友達には
彼女がやたらと物をねだってくる・・と困ってる奴もいる。


梨絵は本当に優しいなぁと思う。