愛しい人へ




「拓海ーーー!」


真夏の天下。


駅前に梨絵がやってくる。


待ち合わせ時間ぴったり。



「よっ!」


「ごめんね?待った?」


「ぜーんぜん。早く行こうぜ!」


俺は梨絵の手を握る。


「手つないでたら改札通れないでしょー?」

梨絵が俺の手を離して、先に改札を通る。


俺も改札を抜ける。



「はい!」梨絵が手を出してくれていた。


「おう」俺も手を握る。



今日は梨絵と都心まで出る。





電車に乗ってると、

ついつい俺は見栄を張りたくなってしまう。


こんなにかわいい彼女いるんだぜって。





「聞いてるー?」 


ボーとしてる俺に梨絵が顔を近づける。