愛しい人へ



「梨絵。俺、ほんとお前が好き」


「・・・・・恥ずかしいよ」



「ちゃんと俺のこと見て」



梨絵は少しずつ俺を見た。




「どうしたの、急に?」


梨絵は不安そうな顔をしていた。



「うんん。なんでもないよ」



「本当に?」



「うん。言ってみたくなっただけ!」




って、ごまかしたけど・・・
本当は違った。


嫌な夢をみたからだった。


梨絵が泣きながら去っていく夢。


俺は呼び止めたくても呼び止められなくて

ただただ梨絵の小さくなっていく背中を見て、

体から力が抜けていく。

俺は泣き崩れる。

呼び止めることのできなかった自分を責め続けた。




夢でよかった。 


だけど、正夢になりそうで怖かった。