「冬月くんが学校をサボるなんて…」
「ゆっきー、南さんと付き合い始めてから変わったよね。心にゆとりができた、みたいな。カリカリしなくなった。彼女さんに癒されてんのかな~羨ますぃ~。南さんいい子だしな~。それにどんどん可愛くなるよねあの子。内側から輝きをパアッ…!と放ってる的な。やっぱ幸せな女は違うよな~」
「そんなん猫かぶってるだけに決まってんじゃん!冬月くんは騙されてんだよ!」
「はいはい、そうですか」
「そうだよ!どいつもこいつも目が節穴みたいだね!かわいそうに!」

佐藤さんはフン!と鼻を鳴らす。

「まあいないならもういいわ。帰る」
「あ!ちょ、タンマ!」

佐藤さんが近くにあったゴミ箱に袋を捨てようとしたところを槙くんは慌てて止めた。

「チョコでしょそれ。捨てるならもらったげる」
「フン!ハイエナかあんたは」
「いいじゃんいいじゃん、ちょうだいよ」

佐藤さんは槙くんの前に袋をドン!と置く。

「ちゃんとホワイトデーにお返ししてよね!」
「わっかりましたー」

そのまま佐藤さんはズカズカと教室を後にした。
槙くんはしめしめ、と袋から派手にラッピングされた分厚い箱を取り出し、包装を破く。
そして蓋を開けると、

「何これ!!」

槙くん爆笑。
中には何が入っていたかというと、“I LOVE FUYUTSUKI”プラス、キスマークが描かれた人の顔よりデカいハート型のチョコケーキ!

「マジセンスねぇ~!!激寒っ!!」