数学の授業中のこと。

「サイン、コサイン、タンジェントー!」

バラすか、黙っておくか…どうしよう??
間接的にだけど、冬月くんに“がっかりするわけない”と言われてから私の心は揺らいでいた。
私がlovefoxxxだって言っちゃおうかな、と。
でもたまたま会って相談してみたヤツが実はlovefoxxxでしたってなったら冬月くんは動揺するんじゃないかな。
「お前かい!」みたいな。
そもそも私なんかがlovefoxxxじゃあないだろう、それに口も固そうだ、と思ってあんなぶっちゃけた相談事をしたんじゃないかとも考えてる。
だから心が揺らいでいると言ってもほとんど“黙っておく”の方に傾いている。

そうだよ、冬月くんは絶対私なんかをlovefoxxxだと思っているはずがない。
当たり前じゃん。

「南」
「………」
「南ー!」
「あ、はいっ!」

先生に大声で呼ばれてびっくり。
慌てて顔を上げる。

「何ぼーっとしてんだ。はい、問一解いて」

問一?
私は教科書を見下ろす。
と同時にめまいがした。
謎の数式が紙の上に渦巻いてる…。
何これ~!?

「えっと…わかりません…」
「授業中にケータイいじったり、ボケーッとしてるからなあ。わかるわけないよなあ」

先生は私の席まで大股で近寄ってきた。
怖~!

「そんな南チャンにご褒美を用意ちまちたよ~」

赤ちゃん言葉…。
嫌な予感がする…。
先生は不適な笑みを浮かべて、パサッと机の上にレジュメを放った。
それを見た時、私は失神しそうになった。
数式の渦…!!

「これ今日中にやって提出な!授業真面目に受けてなかったヤツには全員これやらせるからなー」
「えー!」「やだー!」「鬼ー!」

やだよ~~~。