ああ~!
私は机にへにょへにょと崩れ落ちた。
“冬”って冬月の“冬”だったのか…。

「何で今まで気付かなかったんだろ~、バカじゃん…」
「恋は盲目ってヤツじゃない?」
「それは違う」
「まあでもいいじゃん別に。幻滅なんてされないってば。加恋は自分に自信持たなさすぎ」
「だって相手が冬月くんだよ?そりゃ自信喪失するでしょ~」

私は頭を抱える。
もともとゼロに限りなく近かった自信が今やマイナスの域に突入してる。

「もとから自分に自信ないからよりいっそう…」
「なーんでよ、加恋可愛いじゃん」
「そんなの友達にしか言われたことないし。お世辞でしょ」
「んなことないって。この前金田くんが加恋可愛いって言ってたよ」
「金田くんって、生徒会の会計の?」
「そうだよ。何か不満?」
「金田くんってB専でしょ…」

金田くんの歴代の彼女は全員ブサイクだって有名らしい。

「ま、確かにね。でも“タイプじゃない”って言ってたから。セーフだよ」
「正直言って何のフォローにもなってないよ…」
「ねぇえ、加恋~。金田くんの言う“可愛い”と“タイプ”は別物!“タイプ”=ブスになるけど、“可愛い”は普通に可愛いってことだから」

それでもあんまり嬉しくない…。

「もーそんな落ち込まないでよ。加恋は普通に可愛いんだから。誰だって100%のお世辞なんて言わないの。
ほんのちょっとでも可愛いと思ったら可愛いって言っちゃうんだって。わかるでしょ」
「ほんのちょっとでしょ」
「お世辞でも言われないヤツなんてたくさんいるんだからさあ、言われるだけマシ。
まあ相手が冬月だったら嘆きたくもなるだろうけど。
つーかそもそも“顔より性格の方が大事”って自分で言ってたじゃん、加恋」
「そんなの顔がよすぎたら問題外だよ~!」
「それもそうか、あはは」