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「うっそーマジ?」

私は夏帆ちゃんに昨日のことを事細かに報告した。

「本当に。約束の時間に行ったらあの冬月くんがいたの」

夏帆ちゃんはあんまり驚いた様子はなく、ふんふんと話を聞いているだけ。

「でもさあ、ダブル・ブッキングしたって可能性はないわけ?確かにあそこはあまり人がうろつかないところだけど」
「ダブル・ブッキング!!」

私は予想だにしていなかったところを突かれて、あちゃ~と心の中で呻いた。

「そうだあ、それあるかも。私あの時すっかりパニクっててそんなこと考えなかった~。
そうだよね、普通に考えて冬月くんがhiverくんのはずが、」
「待った!」

夏帆ちゃんは手のひらを挙げて私の言葉を制した。

「イヴェルって何語で何つう意味だっけ」
「フランス語で“冬”」
「冬月はフランス語がペラッペラ!」