その表情は、まさに今までの彼方の表情とは逆。
ニッと笑うその口は吊上がり、俺を見下ろしたその目は全く笑ってはいない。



その彼方の姿に恐怖を感じ、俺は逃げるように後ずさりしようとする。



だが、すでに時は遅し…。
俺はすでに扉の真横にある部屋の壁に追いやられていた。



「知っちゃった…って…な、何を?」



俺は恐る恐る目の前にいる彼方の顔を見上げるように見て、ゴクリと息を飲んだ。



と、その時。



ドン!!!!



突然、部屋に大きな音が響いた。



((((;゚Д゚))))…。




俺は壁に追い込まれたまま、体をプルプル痙攣させながら硬直した。



なぜなら、彼方が俺のすぐ後ろの壁を思い切り叩いたのだ。
というか、正確には『叩いた』というより、『殴った』といった方が正しいのだが…。
しかも叩いた彼方の手は、俺の左頬スレスレの所であった。



((((;゚Д゚))))ぬあああああ!!
い、いったい!何が!起こったんですか━━(゚д゚;)━━!!



俺が突然の事態に大きな口を開けて固まっていると、彼方がうつむいてた顔を上げ、ニッコリと笑った。



「君ってホントめんどくさいね。口でわざわざ言わなきゃわからない?」




その笑顔で口開いた彼方は、俺の知っている彼方ではなかった。