「あ”…!!!!!」


彼方の部屋に入ってすぐ、俺は目を見開いて大きな声を漏らした。



なぜなら、俺の目の前に信じられない光景が映し出されたからだ。



「ヤ、ヤマト兄!?」



俺は叫んだ。
だが、決してそこにヤマト兄がいたからという訳ではなかった。



俺は見た。いや、見てしまったのだ。 



それは…。



学校のアイドルであり、俺も尊敬した天才高校生、菅谷彼方。



そんな彼が、



なぜかヤマト兄の写真を右手に、



そして左手でDVD用らしきリモコンを持ち、



画面の映像にうつるヤマト兄を



スローモーションで再生しながら、



それは楽しそうに笑みをうかべている…。




( ̄▽ ̄;)……??




こ れ は い っ た い



ど う い う こ と だ ?




俺があまりの彼方の意味不明な行動に硬直していると、やがて彼方が俺の存在に気付いたのかヘッドフォンを外してこちらを向いた。




「あれ?遥、もう来ちゃったの?」




しかし彼から放たれたその第一声は、動揺も感じられないごく自然な言葉だった。