…トントン!


部屋の扉がノックされる。



「…ぁ、はい!」



反射的に遥が返事をすると、ガチャっと扉が音をたてて開く。


「入るぞ。」


低く大人びた声。
金に近い亜麻色の髪。
透き通るような青い瞳。
そんな男性が扉から顔を出す。



「引っ越しの片付けは終わったか?」



「あ、ヤマト兄。…なんとか片付けはだいたい終わった所だよ。」



遥は今まで寝転んでいた身体を起こし、ベットに座る。



「そうか。なら良かった。」



ヤマト兄と呼ばれた青年、ヤマトは安心したように微笑むと、遥の部屋の玄関に入り込む。



「思ったより綺麗に片づけてるじゃないか。」



ヤマトは部屋をグルッと見渡した。



「思ったよりっていうのは余計なんじゃない?」
 


「はは…それは悪かった。」



「ったく。ヤマト兄は、いつも俺のこと子供扱いするんだから。」



「何だよ。遥はまだ子供じゃないか。」



「こ、子供って!俺もう17だよ!?」



「ははは。だからそう言う所が子供なんだよ。」



「ヤマト兄ー!」



遥が怒って大声をあげると、ヤマトは笑い出した。



「あははは。ごめんごめん!俺が悪かったよ。」



「ヤマト兄こそ相変わらずだよ。俺が冗談嫌いなの知ってるくせに…」



「ほら?そういう相手こそ冗談言いたくなるものだろ?」



「ふ〜ん。あっ、そうですか!」



遥がそう言うと、どちらともなく目が合い、二人は笑った。