俺がその理由を確かめるべく、さらに5センチほど扉を開けて、そっと部屋を覗きこむように彼方が何をしているのか観察する。



多少視界が限られるが、しばらく彼方を観察していると、やがてなぜ彼方が俺に気がつかないのか、その理由の答えにたどり着く。



どうやら彼は椅子に座り、耳に大きなヘッドフォンをあてて何かを聞いている。…というよりも彼方の目の前にある32型ほどのテレビに映る何かの映像?を見ているようだ。



あーそうか(´∀`;)
ヘッドフォンをはめていたら、ノックも俺の声も聞こえないよな!



でも…。それにしても時間かかってるんだな。
てかそもそも彼方のやらなくちゃいけない事って…?



あ(゚∇゚ ;)もしかして録画していた好きなテレビ番組か、レンタルしていたDVDを見たかったのかな?
…てかテレビでって言ったら、それくらいしか思いつかないけど…。



まぁ、本人もいるし!テレビ?見てるだけみたいだし!
ここは部屋に入って、俺が来たことを直接知らせても大丈夫だよね?(´・ゝ・`)



こうして、俺は扉を開けて部屋の中へ入ることを決意した。



「彼方!扉開いてるみたいだから入るよ!」




俺はそう言ってから、扉を開けて部屋の中へと足を踏み込んだ。



だがこの時、俺はまだ彼方のとんでもない一面を見てしまう事になるとは思うよしもなかった。



そして俺の新生活を狂わせたのは、間違えなくこの瞬間だったと思う。