「彼方、少し汗を拭かせてよ?」









俺は念のため言葉をかけたけど、彼方からは苦しそうな息遣いが聞こえてくるだけで、やはり無反応だった。









しかし彼方からの返事は最初から期待してなかったので、俺は気にせず首の汗を丁寧にふき取り、次に首の裏側のうなじの所にタオルを当てた。









と、その時。










「もう…ゃめて…。」









「え?」










彼方が何を呟いたのか聞き取れず、反射的に聞き返そうとしたその瞬間。









「やめてよ!…翔さん!!!」










彼方が苦しげに大声で叫んだ。









・・・・・・え?








彼方の突然の叫び声に身体が硬直する。








一瞬自分が怒られたのかと思ったが…








(; ´_ゝ`) …。









(; ´_ゝ`) か…翔(カケル)さん?









って誰なんですか━━(゚ Д゚;)━━!!







彼方の発言が意味不明しすぎて混乱していると、彼方がハッと目を覚ましたのか瞳を見開いた。








そして、ガバッと横になっていた身体を無理矢理起こし、苦しそうに息をしながらタオルを持って硬直している俺を見る。








「……お、お前…。」








そう口にしてとすぐ、またグラッと彼方の身体が傾く。








それを俺は反射的に両手で受け止めた。








「大丈夫!?まだ横になってたほうがいいよ!?」








「…。」








彼方は何も返事をしなかったが、俺は半強引に彼方をまたベットに寝かせた。