だって、ヤマト兄はそんなに彼方の事を大事な生徒だと思っているのに…。








でも彼方はヤマト兄の事が本気で好きで、しかも裏でストーカーまでしている…。








なんだか気持ちがねじり曲がってる。そんな気がする。








…って、まったく関係ない俺がいくら考えても何も解決しないことなんだけれど…。








俺が神妙な顔をして考えている横で、ヤマト兄が『いやー。そう考えると懐かしいなぁ。』とふいに言葉を漏らす。








「彼方が俺の部屋を出て行ってすぐ、北洋高校とこの寮に入ることになったって聞いたときは本当に驚いたっけ…。」








そんなヤマト兄を見て俺はただ黙った。








彼方がヤマト兄と一緒に暮らしていた。








もしかして、彼方はこの時にヤマト兄のことを好きになったのかな…?








でも…何で男のヤマト兄を…?








俺の中でどんどんと膨らむ疑問に、決して答えにたどり着くこともなく、俺はしばらくの間、その疑問が頭から離れず考え込んでしまった。









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「…山くん。遠山君ってば!」









俺はその声でハッとて、目を見開いた。








「大丈夫?遠山君?」








目の前には愛穂が俺を心配そうに見ていた。