「晃月…。もしかして逃げる気?」








彼方の言葉は、この場を去ろうとしている宇宙の背中にグサリと突き刺さった。








すると宇宙は、ゆっくりと俺達の方を振り向いた。








「に、逃げるなんて人聞きが悪いじゃない!仕事が入ったんだからしょうがないでしょ?」







宇宙が大声をあげた途端、彼方がフゥーとため息をついた。








「僕、言い訳は嫌いなんだよね。…オカマのは特に。」








あえて『オカマのは特に』を強調しやがった!(゜ロ゜)







「言い訳って言われても本当に仕事なんだからしかたないでしょ!?それに、ちょっと待ちなさいよ!アタシはオカマじゃないわよ!ただの純粋なオトメ男子よ!男好きの…」








「それがオカマ以外のなんだっていうんだよ!?」








「アンタ何もわかってないわね!こっちの世界ではオカマとは言わないのよ!」








「そんな世界知らんわ!」








宇宙の言う『こっち世界』については、俺はまったく想像がつきませんでした。








「…って、カニャリン。そんなことより、私をどうしても出張に行かせないうもりなのかしら?」








宇宙は話のずれを戻すと、真剣な顔をして彼方を真っ直ぐ見た。








「うん!行かせるわけないでしょ☆」








彼方はその笑顔で、宇宙の真剣な表情をいとも簡単に打ち砕くのだった。