「なぁ、彼方。」







廊下を歩きながら、俺は彼方に声をかけた。







「何?」







彼方が振り返った。








「あ、あのさぁ。さっきの双子とは知り合いなの?」








俺は少し早歩きをして、彼方の隣に並んだ。








「……ふふ。まぁ、そうだけど…。」








「あんなひどいこと言って大丈夫なの?あの子達本気で怒ってた…。」








あの憎しみに満ちた双子の表情が、再び俺の頭に蘇るようによぎる。








「はぁ?そんなのお前が心配することじゃないだろ?」







「そうだけどさぁ…。」








そりゃあ、俺がどうこう言う問題じゃないのは、なんとなくわかってるんだけど…。








だけど、なんか俺のどうにかしたいって気持ちが押さえられないんだ。








ってどうにかしたいなんて言っても、俺は彼方と双子の関係も昔のことも知らないし、なんで俺がそんな気持ちになってしまったのかもわかんないけど。








でも、あんな未咲君と希沙羅君の顔、もう見たくないって思った。








「それとさ、もう1つ聞きたいんだけど…。」








「何?」








「未咲君たちとは、どういう知り合いなの?」








俺が彼方にそう聞くと、彼方が一瞬キョトンとしてから呆れるように鼻で笑う。