「あのねぇ。僕、学校では優しくてみんなから頼りにされてる優等生なんだよね。…だからさっきみたいに未咲がケンカ越しで来られちゃ、生徒のみんなに変だと思われちゃうだろ?」






「学校では…ってどういうことだよ…?」







未咲が眉をひそめた。







「別にそこは答える必要ないでしょ?まぁ、ようするに僕にこれ以上関わらないでってことなんだけど…。」








「…だから!どういうことなのか全然わかんねぇって!」







考えても答えに追いつかなくなったのか、未咲がついに大きな声で叫んだ。








「相変わらず頭が固いんだね、未咲。ほら、希沙羅を見てみなよ。君とは違って僕の言ってる事を理解してるみたいだよ?」







彼方の言葉で、俺たちは希沙羅に視線を集めた。







すると、今まであまりしゃべらなかった希沙羅がゆっくりと口開いた。







「彼方さん…。僕がこう言うのもどうかと思われるかもしれませんが…」







「うん。何?希沙羅。」







彼方が耳を傾けるように顔を少し傾げると、希沙羅がそのまま言葉を続けた。







「あなたは変わってしまいました。…なぜですか?だって昔はそんなんじゃ…。」







希沙羅がそう言った途端、一瞬沈黙となる。







その静かな空気の中、彼方の乾いた笑いが聞こえた。







「ふふっ。昔かぁ〜。もう忘れちゃったな…。」







「わ、忘れちゃったって…。だって前のあなたは優しくて…僕たちの面倒も見てくれて…。」






彼方の返事が想定外だったのか、希沙羅は驚いている様子だった。