「そ、そんな。頭を上げてよ。」







頭を下げる未咲に俺が声をかけると、未咲がゆっくりと体を起こした。







「でも…。俺…。」







「ほら!俺の体はなんともなかったんだし。未咲君も謝ってくれたんだから、この件はもうおしまい!」







俺の笑顔でそう言うと、つられるように未咲も笑顔になった。







「それでいいんじゃない。ね?」







「遠山先輩…。ありがとうございます。」







未咲はまた俺に頭を下げ、顔を上げると安心するように息を吐いた。







「はぁ。よかった…。こうして謝れたのもキャプテンのおかげだな。あとでお礼を言わないと…。」






未咲は自分の後ろにいる希沙羅の方をに話を振ると、希沙羅もまるで自分のことのように喜んで笑みを浮かべていた。







「そういや風間のことをキャプテンと呼んでいたけど、どういう関係なの?」







ふと疑問に思って俺は未咲に問う。







「はい。俺、サッカー部に所属してるんですが、風間先輩はそのサッカー部のキャプテンなんです。」







へぇ。風間ってサッカー部のキャプテンもやってたんだ。







「俺が先輩にボールを当ててしまって悩んでいた所に相談に乗ってくださって…。そしたらキャプテンが、今日遠山先輩に謝る場を与えてくれたんです。」







さすが風間。
仲間想いだけじゃなくて、後輩想いでもあるんだな。