「ああ、そうだ。すっかり話がそれてしまったけど…」







俺が廃人になりかけている間に、彼方が何かを思いだして口を開いた。








「ちなみに僕と観奈のことは他言無用だからね。もしも口が滑るようなことがあれば、真っ先に酸素が吸えなくなるからね。」








そうだった。
元はと言えば、彼方と観奈の話だったのに、いつの間にか俺の恋愛経験のない話で盛り上がっていた…。まぁ、盛り上がってたのは彼方だけだが。








っていうか、酸素が吸えなくなるって、彼方さん、あなた何をするおつもりですか?








「…。はい。肝に銘じておきます」







俺はもちろんこれ以上脅えるのを避けるため、迅速に了承させてもらった。








すると少し間をおいて、彼方が俺にゆっくりと話し始めた。








「まぁ、そうだな。機嫌もよくなったことだし、特別に教えてやるけど…。僕が観奈とする理由は、”彼女を他の誰にも渡せないから”かな?」








「え?それどういうこと?」








突然意外なことをポロッと言われて、俺は彼方を見た。







「ふふっ。能無童貞のお前にはまだわからない事かもしれないな。」








あのぉ。わざわざもっと気になるように言わないでください。ドS王子様…。







てか、もう俺のこと遥から能無童貞になってるし…。








「ちょ、それ、ますますわからないんですけど。それに俺が結局わからないなら、教えた意味ないじゃないか。」








「え?わからないなら、頭使いなよ?あ、それとも貧乳処女みたいに妄想してみたらどう?そうしたら意外に答えがわかるんじゃない?貧乳処女みたいに…ふふふっ」








彼方は思い出し笑いかの如く、またくすくす笑う。








そうとうツボにはまってるんですね。貧乳処女と能無童貞…。