「ああああ…お、俺は、次に遥のお袋さんに会ったら、なんて顔をして会ったらいいんだ…」







ヤマト兄は、額に手をあてて、崩れるように扉にもたれかかった。








いやいやいや!
ヤマト兄!冷静に考えて!!
俺は不純なんかじゃありません!
これは完全に誤解ですって!!
そんでもって考えすぎですってばーーーーー!!








「ヤ、ヤマト兄!!!ち、違うんだ!!俺は西川さんとは何も…」








俺はとにかく誤解を解かなくてはと叫んだ、その時。








「お〜〜〜い!ヤマト〜〜!」








俺の部屋の外から、ヤマト兄を呼ぶ声が聞こえた。








俺たちがハッとすると、ヤマト兄の隣に人影が現れる。








「ほらぁ〜やっぱりあったぜ、俺の鍵。」








「大樹…。」








そこに現れたのは、ヤマト兄の幼馴染み、いや恋人の大樹さんだった。








「だ、大樹さん?」








「キャッ!こんばんわ〜大樹さん☆」








「…よぉ!遥!…と、くるみちゃん。」








大樹さんは、俺と西川さんがいることに気付くと笑顔であいさつをしてくれた。







大樹さん、意外にも西川さんと知り合いなんだな…。








「大樹、お前別にここまで来なくても…」







大樹さんが現れると、今まで錯乱してたヤマト兄が元に戻った。







「え。別にいいじゃん。どうせ、この後すぐ家出るし」








「それはそうだけど…で、鍵どこにあったんだ?」








ヤマト兄が大樹さんにそう尋ねると、大樹さんはニッと笑った。








「ん?ああ。実はな〜。便所の床に落ちてた。俺、最中に落としてたらしいわ。」