「それはまだ遠山君には話せません。」







「え?なんで?」







「話せないというか、まだ西川もその件は捜査中なんですよ。だから、私の中で事実が明らかにならない以上、途中結果は秘密なんです。」








西川さんがにっこり笑ったが、逆に俺はその意味不明さにイラツとした。








「秘密ならなんで俺にそんなこと言うんだよ?」








秘密なら最初から俺に話をふる必要ないじゃないか。
何を考えてるんだ?西川さんは…。








すると、西川さんは歩いている俺の目の前に立った。







俺と西川さんの足が止まると、彼女は俺をじっと見た。








「いや、遠山君には知ってほしかったんです。あれが夢ではなく現実だということ。」








「え?」







夢じゃなくて現実だと知ってほしい?
教師と男子生徒の恋愛ドラマ?的な事がらを?








そ れ は な ん の た め に?







「ただそれだけのことです☆」








西川さんは、俺ににっこり笑うとくるりと回転して方向転換し、また廊下を歩きだした。







「ちょっと、待って、西川さん!なんでだよ?なんで俺にそのことを…?」







俺が叫ぶように言うと、西川さんの足が止まった。
そして、西川さんはそのままつぶやくように口開く。








「だって…そう受け止められる覚悟がないと、今後あの蘭藤荘でやっていけませんよ。」







え?(゚д゚;)







蘭藤荘で…やっていけない?








西川さんのその静かに言い放った言葉に俺はドキッとした。








すると西川さんは、またくるりと振り返り、俺ににっこり笑った。