「そろそろ僕は行くよ。そんなわけで、遠山君、お大事にね。」








そして藤岡先生は、白衣の襟を両手で掴み軽く着直すと、俺に手を振った。








「あ、はい。わざわざありがとうございました。」








俺がお礼を言うと、藤岡先生はにっこり笑う。








「あ、それと君は今期からの転入生だったよね。もし何かあったらいつでも僕を頼っていいからね。」







「は、はい。ありがとうございます!」








俺が嬉しそうに返事をした矢先、またも彼方のため息が聞こえてた。








「そういうことは、頼れるようになってからいいなよね。」








彼方がそう言うと、藤岡先生は悲しそうな顔をした。








「そんな事を言うなんてひどいよ〜。彼方は、本当に僕に厳しいな〜。」








そんな藤岡先生をふんっと鼻で笑うと、彼方はそっぽを向いた。








「あ、それと彼方。君にはまたいろいろと募る話があるから近いうち理事長室に来てほしいな。いいね?」







藤岡先生は、にっこり笑うと彼方をじっと見た。
またパリッとした緊迫な空気が流れた気がした。








「…。ああ、わかってる。」








彼方がうつむいて、ボソッと返事をした。








藤岡先生はそれに納得したように大きくうなづく。








「うん♪じゃ〜また!二人とも、遠山君が落ち着いたら保健室を施錠して気をつけて帰るんだよ。」








「はぁ?施錠は、保健医の仕事だろ!」








彼方が怒鳴るが、藤岡先生はそれを無視して俺達に背をむけた。








「僕はこれから忙しいんだよ。じゃっ、頼んだよ〜」








藤岡先生は最後に軽く振り向いてそう言うと、早々と芭悠里と共に保健室から退室していった。