「君、ほんと能無しだね」







彼方が靴箱に靴をしまいながらそう言った。








「だ、だって!無理だよ、昨日ヤマト兄と大樹さんのこと聞いたばっかだし…」







俺がそういうと彼方は、俺の唇に手を置いた。








「あまり大きな声でその話をするな。だからお前は能無しなんだよ」







「あ…。ごめん。」








そうだった。
このことは、俺達しか知らないんだった。








「ここが学校じゃなかったら、危うく落とすところだよ」







( ゜∀゜)・∵ブハッ!






落とす!?







何をですか!!(((°Д°)))






「ふふっ、楽しみは蘭藤荘に帰ってからにとっておかなくちゃ」







とっとかなくて結構です!








「あ、それと…」







「え?何?」







「考えたけど、お前が早瀬先生のことをヤマト兄と呼ぶことは特別に許可してやるよ。」







「え?い、いいの?」







「いいのって言うよりか、都合が悪いと思ってね。お前不器用だし、早瀬先生の前でも切り替えできなくて、逆にそれが不自然になるということもあり得るし。」







た、たしかに。
俺はあなたみたいに切り替えのスペシャリストにはなれませんから!







「だけど、あまり調子に乗った行動した時はただじゃおかないからね。あ、行動しても僕の楽しみが増えるだけか!あははっ」







彼方は、俺に恐いくらいに楽しそうに笑うと廊下の方に歩きだした。







はい。
肝に命じて、調子に乗らないようにしたい。
俺の身の安全のために…。