「いってきます。」


「2人とも頑張ってねー。」


そう叫んでる母さんを背中に俺たちは並んで歩き出した。


「2人じゃねぇ、3人で頑張るんだよな。」


「うんっ。」


さっき見てた写真をもう一度出した。


茶色い額縁の中で微笑んでいる男は、俺のもう1人の幼なじみ


長谷川拓馬[ハセガワ タクマ]


一年前のこの時期に、拓馬は交通事故で命を落とした。


俺はこいつのためにも頑張らなきゃいけない。


「それにしても、純ちゃんの4番も板に付いてきたねぇ。」


「あぁ…拓馬の代わりだからな。」


俺が頑張らなきゃいけない理由、


それは拓馬の夢を叶えるって約束したから。


拓馬の夢は優里を―…


拓馬の大切な子を甲子園に連れてくこと。


「頑張ってね、純ちゃん。」


「拓馬もだろ。」


水嶋純哉[ミズシマ ジュンヤ]
17歳


俺の熱い夏が始まる―…