「なんでそんな危険な物がこの施設にあるのよ!」


シチローの説明に、驚いたように声を荒げるてぃーだ。



「朝唐教祖の予言『新世界』だよ……
鴉信教の教えの骨格となる部分。
『現在のこの世界は、そう遠くない未来に、ある厄災に見舞われ滅亡する……そしてその後には鴉信教を中心とする理想の新世界が誕生するであろう!』
奴ら、手始めにこのソリンを東京のどこかにでもバラ撒くつもりに違いない!」


「そんなバカな事……」


信じられないという顔をするてぃーだ。


「いや!何しろイカレた連中だからな……あの信者達、新世界の事を顔色ひとつ変えずに語ってやがった!」


この施設に初めてやって来た時に聞いた信者の台詞を思い出し、シチローは嫌悪感たっぷりに吐き捨てるように言った。


そして、溜め息をひとつつくと


「さっ、ここにはかおりちゃんは居ないみたいだ。次を捜そう!」


「でも、いいの?
ここほっといて……」


「なんとかしたいところだけど、今のオイラ達には手が出せない……今は依頼を優先させよう」


鴉信教の恐ろしい野望を目のあたりにしながらも為す術が無いシチローとてぃーだは、やるせない思いを胸に抱きながらも次の建物を目指し第7サティアンを後にした。