シチローとてぃーだが通気ダクトに潜り込んでから、およそ一時間あまりが経過していた。


「次は『第7サティアン』を探索してみよう!」


鴉信教の施設には、九つの建物がある。


その中で、この第7サティアンには居住の為の部屋は無いとされていたが、実は、シチローはこの建物にかおり探索とは別の興味を抱いていた。


「これが噂の第7サティアンか……」


「噂の…って、この場所に何か秘密のようなものでもあるの?シチロー」


「あそこに貯蔵タンクのようなものが並んでいるのが見えるだろ?」


他の施設と違い、この第7サティアンは建物全体が薬品工場のような様相であった。その隅の方に並ぶ幾つもの貯蔵タンクを、シチローは指差した。


「あのタンク?
あれは一体、何のタンクなの?」



そのてぃーだの質問に、シチローは真剣な表情で実に恐るべき事を口走った。





「あのタンクの中には、『ソリン』という猛毒の神経ガスが貯蔵されている……元々は液体だが、空気に触れると広範囲に揮発し、そのガスを吸った人間は呼吸器、循環器に著しい不具合を併発し最悪の場合、死に至る……」