驚きの声を上げて朝唐を絶賛する信者達。
一方のチャリパイは、そんな事には構っていられなかった。
それよりも今は、信者達の中からかおりを捜し出すのが先である。
「それじゃ、みんなで手分けして捜そう!
オイラは右側の前を捜すから、ティダは左前、ひろきは右後ろ、そしてコブちゃんは……」
そこまで言って、はたとシチローは子豚の姿が見えない事に気が付いた。
「あれ、コブちゃんはどこに行ったんだ?」
その瞬間だった……
不意に信者達から大きな歓声が上がった。
「うおおぉぉ~~っ!
あんなに高く浮き上がったぞおぉぉ~~っ!」
その異変に驚いてシチロー達がステージ上を振り返ると、そこには、2メートル近く浮き上がった朝唐の姿があった。
「うわ。ありゃあ~ちょっとやり過ぎだな…5センチや10センチならリアルなもんだが、あそこまでいくとメチャクチャインチキ臭いよ」
呆れたように呟くシチロー。
しかし、この派手過ぎるデモンストレーションは当の朝唐にも予定外の出来事だったのだ。
「あっ、シチロー!あそこ!」
てぃーだが指差したのは、朝唐のいる舞台の袖……朝唐を吊っているワイヤーのクレーンの操作を何故か子豚がやっていた。
「げっ!!コブちゃん何やってんだっ!」
「どうせやるなら、派手にやらないとね♪」
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