サングラスのせいで今まで気付かなかったが、言われてみればあの髪型と顎髭は、森永探偵事務所の作戦会議の時にPCで見たあの顔に間違い無い。
まさか、朝唐教祖本人に出会えるとは、思いもよらない成果である。
シチローの立てた作戦は散々なものであったが、これも結果オーライと言うべきだろう。
「それじゃ教祖さん♪
早速、私の悩み相談に乗って下さいますか♪」
もはや自殺の事なんて、すっかりどうでもよくなった子豚が、朝唐を悩み相談に誘った。
「よろしい、これも何かの縁でしょう。では、下の喫茶店で話を聞きましょうか」
デパートの中にある喫茶店へと向かう途中、子豚は得意そうな顔をして、シチローの耳元でこんな言葉を囁いた。
「私のおかげで、何もかも上手くいったわね♪
シチロー♪」
さっきまで「死んでやる」とか言って大騒ぎしていたのが、嘘のような変わり身の早さである。
「チェッ!まったく調子がいいんだからな……」
自分の計画が全く役に立たなかったシチローは、口を尖らせてぶつぶつと文句を言う以外、他に無かった。
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